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2019年2月号 vol.16

東北のおいしい日本酒「栄川」

2019年02月05日 20:22 by date
2019年02月05日 20:22 by date

晩酌での「栄川」(エイセン)

 福島県の「栄川」という日本酒は、大変おいしいお酒です。

 この書き方は日本語としては正しい書き方です、ですが会津地方の方から言わせれば間違った書き方です。
「栄川」という漢字をどのように読むかで、お酒の銘柄が変わるのです。

「栄川」を「エイセン」と読む日本酒は、栄川酒造株式会社のお酒で、住所は
 福島県摩耶軍磐梯町大字更科字曽根平6841-11
 創業:明治2年(1869年)

「栄川」を「サカエガワ」と読む日本酒は、栄川酒造合資会社のお酒で、住所は
 福島県摩耶郡会津町野沢字本町甲1184
 創業:文化4年(1807年)

この「エイセン」と「サカエガワ」の2件の日本酒についての味の特徴とか旨味とかについて説明するのはやめます。
何故なら私の持論では、日本酒に優劣や順位などつけがたく、まずい酒などありえず、すべてのお酒はおいしいという持論を持っています。
しかるにこの「栄泉」はどちらにも偉人の冠をつけるという共通点があります。

 「栄川」(サカエガワ)を醸造している栄川酒造合資会社の歴史は大阪夏の陣にあります、大阪夏の陣にて敗れた大阪落人の一人が、越後(新潟)を経て国境に近い会津野沢郷に移り住んだ、石田三成の係累である。ところが会津は徳川親藩の国ゆえに、石田は会津松平家に遠慮して、石田姓を石川姓にして石田興一左衛門重友が文化4年に会津藩より免許を受け現在に至っているという。
 そういう由縁があることから、15代石川市十郎純一は石田三成の「義」と「誠」に生きるために遠縁の名前を使った「石田治部少輔三成」という大吟醸酒を作った。しかし偉人の命名はそれだけではなく、アダムスミスの「国富論」を日本で初めて翻訳した地元の西会津町野沢生まれの石川映作にちなんで「国富」という銘柄のお酒も造ってしまったのである。
 石田三成とアダムスミス、この唐突な組み合わせに違和感を持つのは当たり前だが、いずれも地元に由縁のある名前であることから、いかに地元に愛着と誇りを持っているかが伺い知れるだろう。単に有名人の冠であればそれは人の威厳を利用したミーハーな(軽薄)命名になってしまう。
 地元でしか知りえない云われを持つからこそ「サカエガワ」は、地元では「会津栄川」ともいわれている。

 かたや「栄川」(エイセン)は、創業が明治2年である。会津にとって明治2年という年は侵略してくる官賊に果敢に挑み、1か月の籠城戦を戦い抜いた戊辰・会津戦争のその翌年である。荒廃した会津若松市内にあった酒蔵から分家して現在地の会津町野沢に「宮森榮四郎酒造店」を創業した。これが始まりであった、そして昭和18年には戦時統制により「若松酒造栄川工場」となり、昭和28年の若松酒造株式会社の解散と同時に栄川酒造株式会社の設立となった。
 「エイセン」の栄川酒造株式会社は、「戊辰150年」にあたる平成30年(2018年)にはJR東日本サービスからのOEM生産による「戊辰150年」という銘柄の日本酒を製造しワンセットに檜の枡をつけるといったサービスを行った。明治維新ではなく明治でもない東北ならではの心意気である。
 明治維新150年などという日本酒はないのではないか。
 そして本年平成最後の年といわれる平成31年には、「戊辰150年第2弾」として斎藤一を、第3弾は土方歳三を、第4弾は近藤勇を命名しての日本酒を販売したのである。

 写真は、鹿目 哲生さん(戊辰戦争研究会)の撮影提供による。

 写真の斎藤一・土方歳三・近藤勇らは会津藩抱えの「新選組」の隊士で、幕末といわれる時代に京都守護職の会津藩と共に、京でテロリズムを繰り返す長州らのテロリストらを成敗し、荒んだ京都を逆賊から守った武士達である。
 このような新選組や会津藩を今もって、京都の人たちは「会津様」と畏敬の念を持って平成の現在に至っている。
京都の町に「誠」と「會」の旗がよく似合うのは、そのためがである。(個人の感想です)

酔っ払い記者 伊藤

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