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ザ・戊辰研マガジン

2021年1月号 vol.39

成人の日

2021年01月06日 11:47 by norippe
2021年01月06日 11:47 by norippe

 昔は成年になる年齢がずっと若かったが、明治9年以来、成人年齢は20歳とされた。しかし「民法の一部を改正する法律」が2022年4月1日から施行され、成人年齢が18歳に引き下がることとなった。この成人年齢の引下げによって、18歳、19歳の方は親の同意を得ずに様々な契約をすることが出来るようになる。携帯電話の購入や一人暮らしのためのアパートを借りたり、クレジットカードを作ったり、自動車購入のローンを組んだり出来るようになる。ただし支払い能力しだいでは審査が通らず目的が達せない場合もある。
 民法の成人年齢が18歳に引き下げられても、お酒やたばこに関する年齢制限については20歳のまま維持される。また、競馬や競輪、オートレース、モーターボート競走などの公営競技の年齢制限についても20歳のまま維持される。これらは健康被害への懸念やギャンブル依存症対策などの観点から従来の年齢を維持することとされている。
 それとは反対に年齢が引き上げられるものがある。女性の婚姻開始年齢である。今まで16歳で婚姻できたものが2022年4月1日から18歳に引き上げられることになる。昔は男女間で心身の発達に差異があったと考えられていたが、社会的・経済的な成熟度といった観点から今は男女間に特段の違いはないと考えられるようになり、女性も男性と同じ18歳を婚姻開始年齢とすることになったのである。なお、2022年4月1日の時点で既に16歳以上の女性は、引き続き18歳未満でも結婚することが出来る。

 1月15日を成人の日として国民の祝日にしたのは1948年からであるが、今は1月の第2月曜日になっている。成人式の時期や在り方に関して、現在は法律による決まりはなく、各自治体の判断で実施されている。成年年齢が18歳に引き下げられた場合には、そもそも18歳の方を対象とするのか、高校3年生の1月という受験シーズンに実施するのかなど問題がいろいろありそうだ。

 日本では、古くから男の子が大人の仲間入りをする通過儀礼が行われていて、これが今でいう成人式である。すでに682年(天武十一年)には儀式として制定されており、奈良時代以後は「元服」と呼ばれるようになった。 元服の「元」は首、「服」は着用するという意味であり、宮廷や貴族たちの社会では、 だいたい13歳から15歳くらいになると、元服して少年の髪型を成人の髪型に変え、冠をかぶるようになり、着るものも成人の服装に変わったのである。

 中世以後の武家時代では、およそ15歳になると男子には元服の儀式があって、それまでの童名(幼名のこと)から大人の名前に変わり、鳥帽子という冠を被ることになっていた。
 元服の儀式では、父親や、鳥帽子親と呼ばれる人に烏帽子を被せてもらい、彼らから一字をもらって改名したのだ。この鳥帽子親は、長老や有力者などに頼むのが習わしであった。
 やがて江戸時代になると、鳥帽子を被る習わしはなくなったのだが、貴族や武士にならって庶民の間でも、18、9歳で元服が行われるようになっていったのである。
 一方、女子の場合は、13歳ごろから初潮を迎えるなど、生理的に大人の条件を備えてくるので、平安時代中期には13歳から16歳ごろになると、垂らしていた前髪を結い上げて髪上げをし、裳(正装の際に着ける衣)を着て、お歯黒をし、眉墨を描くことなどが許されるようになった。
 鎌倉時代以降は、成人女性と認められると、袖留を着るようになり、江戸時代には、裳を着たりお歯黒や眉墨をするのは結婚後となるなど、時代によって女性の大人入りはかなり変化していったのである。
 いずれにせよ、かつての日本では、男性は15歳くらいから、女性は13歳くらいから大人扱いされていたのである。

 東北地方では、冬は交通規制がされるほどの豪雪地帯が多いことと地方へ出た新成人が帰省しやすい時期となるため、8月に成人式を開催している自治体が多い。しかし2020年8月の成人式は新型コロナウィルスの影響で、中止や延期になった自治体があった。
全国的には1月に成人式を行う自治体が多いのであるが、今年2021年1月の成人式は果たしてどうなることやら。前例がないことから、成人式を運営している地方自治体は、コロナの感染動向を見極めながら慎重な判断に迫られている。
 この記事を書いているのは先月の12月なので、各自治体がどのような結論を出したのかはわからないが、このマガジンが発刊される1月7日にははっきりした結果が示されている事だろう。

 我が子の成長を実感し、愛娘の振袖姿を楽しみにしている保護者の方、華やかな振袖を着てみたい新成人女子など、成人式には様々な想いがたくさん込められている。そういった特別な想いを汲み取って、各地方自治体は成人式を中止ではなく何とか開催出来るよう対応に努力されているようだ。

 そんな想いを知ってか知らずか、今年もまたバカ騒ぎをして問題を起こす新成人が現れるのだろうか。コロナ感染を防ぐために蜜を避け、分散開催をする自治体が多いと思うが、鬱憤が溜まった若者がこの時ぞと憂さ晴らしに騒ぎ立てる会場もあるのではないだろうか。

バカ騒ぎは子供がするもの。大人になったんだという自覚をもって成人式に臨んで欲しいものだ。

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