忠之右衛門 ちゅうえもん(冨田悦哉)です。
私は2020年4月入会で、間もなく新型コロナウイルスが猖獗、星先生や戊辰戦争研究会のみなさんとリアルにお目にかかることはなく、現在に至っております。 しかし、入会してまもなく先生の新刊を拝読したところ、あまりにも誤植が多いので「これでは先生の信用にキズがつく」と憤慨して、戊辰研事務局の高橋さんに掛け合ってしまいました。 (出版のことは戊辰研の仕事ではないので、高橋さんには当惑であったと思います。ごめんなさい。) いろいろ話しているうちに、これは出版社を替えて新版を出した際に、旧版をスキャンしたが校正が不十分であったためらしい、ということに思い当たりました。 ならば「ボランティアでも校正をお手伝いしたい」と重ねて戊辰研事務局へ。
そうこうしているうちに、とうとう先生ご本人からお電話をいただいてしまいました。 ご著書のことに横合いからクレームを入れているようなものですから、先生からしたらご迷惑でしたでしょう。 しかし、お電話の先生は、穏やかに出版の事情等をお話しくださいました。 私からは、引き続き戊辰研でお世話になり、勉強させていただきたい旨をお願いしました。 すると先生から「あなたも何か書いてみなさい」と逆に言われてしまいました。 そのようなお導きもあって、ザ戊辰研マガジンの投稿者の一人に加えていただくことにもなりました。
(現在、私や家族の事情でマガジンへの投稿が途絶えているので、先生には申し訳なく思っております。また必ず再起せねばと思っていたのですが・・) 残念ながら私と先生との思い出は、こんなドタバタ話しかありません。 ですが、先生のお人柄に触れる機会としては十分であったと思います。 かつて幕末維新の記述は、「志士が出て維新の英傑が出て、王政復古が成りました」チャンチャン――という単線的なものでした。 それが、先生のように奥州側から戊辰戦争を描写することによって、私たちの幕末維新観は画期的に広い視野を得ることになりました。
日本の歴史観に深みを与えた一人として、星先生は記憶されるでしょう。 私は、そこに武士だけではなく百姓・平民の視線の座標軸を広げたい。 ついては先生にもご指導をいただいて――というつもりでもあったのですが、先生の急逝はあまりにも痛恨です。 いまはただ、ご冥福をお祈りするばかりです。
星先生はきっと、この世界全体に解け広がって、歴史の真実を総覧できる存在になったのだろうと信じます。
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