私の田舎は宮城県にあります、私はすでに定年退職した老人の身ですが、私の母親が高齢で健在であることから頻繁に帰省しています。帰省の楽しみは母親を見舞いことですが同時に実家での飲食も楽しみです。宮城県の地のものや、私が慣れ親しんだ食材など、思い起こせば私の飲食のルーツを辿っているような、懐かしい思いでいっぱいです。
そんな時に食卓に並んだのが日本酒が「乾坤一」(けんこんいち)です。
あまり聞きなれない名前の日本酒で、その時はおいしくいただいたのですが、ところがこのお酒こそ宮城県の地酒にふさわしいお酒だったんです。
宮城県は広い区域を2か所に分けています、県庁所在地の仙台市を真ん中にして、仙台より北を「仙北」仙台より南を「仙南」といいます。この「乾坤一」は仙南地区の村田という地域で作られています、その「村田」という地域は知行地政策をとっていた伊達藩の直轄地で、藩政時代には商業の町として繁盛していました。
その「村田」は地元では「みちのくの小京都」と呼ばれ、今でも往時の風情が残っており「蔵の町」としても有名です。
この「乾坤一」という名前は明治の初代宮城県知事が命名し、「乾坤一滴」(けんこんいってき)、大地を潤すほどの満足を与える酒であれ、という云われがあります。
「乾坤一」
有限会社 大沼酒店
宮城県柴田郡村田町町56-1
正徳2年(1712年)創業
蔵王山系の伏流水を使ったお酒で、日本酒度+2°という糖度で、少々甘口でありながら柔らかいくちあたりとキレの良さが同居している、そのようなお酒です。
ここ大沼酒店は仕込み1トン以下で500石の小さな蔵ですが、入手困難で単価も3千円前後からとなかなか手が届きません。
そんな日本酒を用意してくれる実家に感謝しつつこれからも母親に会いに行きます。
酔っ払い記者 伊藤
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