会津若松市は、1899(明治32)年4月1日に市制を施行して以来、平成31年4月1日で市制施行120周年を迎えました。会津若松市では、この節目の年を市民の皆様とお祝いするとともに、市制施行の意義の再確認と市勢発展の歴史の振り返りを行い、将来に向けてより一層の市勢発展の契機とするため、本年11月23日に「会津若松市制120周年記念式典」が開催されました。市民・関係者が一堂に会し、市制施行の意義の再確認と市勢発展の歴史を振り返りながらともに祝うことで、会津若松市の将来に向けたより一層の発展を願う契機とするため記念式典が開催されました。
【会津若松市政120周年記念シンボルマーク】
「会津若松市政120周年記念式典」に、山口県萩市が、会津若松市政功労者として表彰されることとなり、萩市の藤道健二市長が出席しました。表彰理由は東日本大震災の際の多額の寄付ですが、幕末、戊辰戦争で敵同士となり、複雑な市民感情が今も残るとされる両市だけに、互いの公式行事に市長が出席するのは極めてまれ。萩市側は「交流のきっかけになれば」と期待しております。戊辰戦争では長州藩などの新政府軍が会津城下へ攻め込み、会津藩の白虎隊が自刃するなど数々の悲劇が起きました。戦後処理でも、「戦死者の遺体の埋葬を禁じた」「現在の青森県に藩を転封させた」など、会津藩を過酷に扱ったとされております。こうした伝承は史実ではない面がありますが、会津では今も長州へわだかまりがあるといい、過去、両市民の間で和解の機運が芽生えた時も反対が多く、実現しておりませんでした。昨年の戊辰戦争150年も和解の話は出ませんでした。
今回の表彰は、2011年の東日本大震災で多額の寄付をした個人、団体が対象。萩市は会津若松市に対して見舞金1000万円、市職員有志、民間の義援金など1250万円を送っております。会津若松市主催の行事に萩市長の参加例があるかは記録がなく不明ですが、約23年間、萩市長だった野村興児・前市長は「財団法人や民間の行事には行ったが、市主催行事は記憶がない」と話しております。藤道市長は「民間交流は進んでいるが、問題は市役所同士。あちらの気持ちを思えば、和解、仲直りという言葉をこちらから使うことはできないが、交流を始める第一歩にできたらありがたい」と意欲を見せておりました。会津若松市総務課は「あくまでも寄付へ感謝するもので、それ以上の意味はない。会津と長州の歴史は関係ない」としております。また、式典に参加される「長州と会津の友好を考える会」の萩市在住の山本貞寿代表(80歳)は、「賛否があるでしょう。すんなり行政同士の新たな出発になるとは思えませんが、どういう場になるか見てきたい」と話しております。山本さんが30年、 必死に歩んで来た会津と長州との道が認められ、萩市長が表彰されることを山本さんは、それを見届けるために会津に来たのです。山本さんも感無量だと思います。会津と長州が互いにプラスになる未来じっくり進めていただきたいと 願っています。「会津へ来て下さってありがとうございます。」と、山本さんの30年の道のりへの感謝の気持ちを捧げたいと思います。
【山口県萩市 藤原健二市長】
【「長州と会津の友好を考える会」代表の山本貞寿氏】
【山本さんの著書】
【福島民友新聞記事(2019年11月6日)】
※東日本大震災時に萩市が会津若松市に対して支援されたことについては、戊辰研マガジン2019年1月号(vol.15)で関根則喜さんが詳細にレポートされておりますのでぜひご覧ください。
https://boshinken.publishers.fm/article/19548/
【会津若松市政120周年記念式典の様子】
【記念式典での室井会津若松市長のご挨拶】
【記念式典の品々】
【現在の会津若松市の町並みと比較しながら懐かしい写真が楽しめた会場】
【会津若松市 室井照平市長】
【式典に臨む萩市の藤道市長】
【式典中黙祷する藤原市長】
【萩市の藤道健二市長が式典出席後の記者対応の際の写真】
11/23の記念式典に出席した山口県萩市の藤道市長は、これまで3度、会津を訪れておりましたが、今回の会津訪問は「相当緊張した。学生時代に来た時は山口県という名前を出すのもはばかられたが、そんな雰囲気も少し和らいでいる」と安堵(あんど)の表情を浮かべたそうです。また「いろいろな事情があると思いますが両市の間では民間の交流は続いておりますので今後も未来志向の関係を築いていきたい」と話されておりました。藤道市長が式典中の登壇の場面はありませんでしたが、記念式典の夜に会津若松市内で開かれた祝賀会に出席した際に、会津若松市の室井市長があいさつの中で藤道市長を紹介したそうです。
【さらなる会津若松市政発展を願い、万歳三唱する出席者】
戊辰戦争研究会の皆様は、戊辰戦争当時の長州藩を許せないという方が多いと思われます。しかし、私はむしろこうした動きが少しずつ自然体で、前進していくことを強く望みたいと思います。今回の萩市長の会津若松市公式訪問は、これからの会津と長州の関係には大きな一歩であったことはまちがいありません。
【記者 鹿目 哲生】
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