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ザ・戊辰研マガジン

2022年07月号 vol.57

世界各国に熱波襲来!

2022年07月03日 12:21 by tetsuo-kanome
2022年07月03日 12:21 by tetsuo-kanome

 ヨーロッパが熱波に見舞われております。スペインとフランスでは、この時期の最高気温の記録を更新。病院や電力施設に負担がかかっている。フランス当局は、一部地域で6月18日の最高気温が南西部で42.9度を記録。科学者らは、気候変動の影響で猛暑がより頻繁になり、これまでより早い時期に到来し、深刻さも増していると警告している。フランス気象庁は、1947年の観測開始以来、最も早期の熱波到来。冬から春にかけての異常な乾燥で生じた干ばつが悪化し、森林火災を引き起こす危険性が高まっている。首都パリでは気温が39度に達する可能性もあります。

 スペイン気象庁によると、最高気温が43度に到達する見通し。北東部カタルーニャ自治州では、少なくとも3件の森林火災が発生している。先月は、スペインで今世紀に入ってから最も暑い5月、隣国ポルトガルでも1931年以来最も暑い5月になっていた。多くの科学者は、欧州各地で季節外れの暑さが続く原因として、温室効果ガスの排出による地球温暖化を指摘している。

 フランスの送電会社RTEによると、同国ではエアコンや扇風機の使用が急増。国内原子炉の多くが保守点検などのために運転を停止しているため、近隣諸国から電力を輸入せざるを得なくなっている。また、猛暑のため河川の水位が低下し、温度の高い冷却水を河川に戻すと環境に影響が出るため、一部の原子力発電所は出力を下げざるを得ないという。フランス国鉄は、暑さによる線路の変形や、電気機器の故障で列車の減速運転が必要となり、遅延が発生する可能性があると警告している。

 イタリアでは、干ばつによって収穫に影響が出ると、農家が危機感をあらわにしている。北部のポー川では、水位が平年より75%近く低下している。スペイン・カタルーニャ地方では、森林火災が発生。消防士らが消火にあたった。

 このように、フランス、スペイン、イタリアでとんでもない熱波が襲来しております。世界気象機関(WMO)によると、北米から欧州まで世界各地が熱波に覆われ、夏至以前の時点で既に7月か8月の気温に達しているケースも報告されています。スペインやフランスでは例年の平均気温よりも10度も上回り、欧州では干ばつが起きています。アメリカでも6月15日の時点で3分の一の人口が何らかの熱波警戒宣言の対象となりました。さらにさかのぼり、3-4月にはインドやパキスタンを熱波が襲いました。気候変動により、熱波の来るタイミングは早まり、頻度と激しさは増しています。IPCCは、1.5℃の温暖化の世界において熱波の頻度上昇を予測していました。2℃温暖化の世界では、農業および人類の健康にとって熱波が耐えきれない水準にまで達しうることが懸念されています。 最近の研究では、2022年のインド・パキスタン熱波をはじめ、2021年6月の北米北西部、2020年シベリア、2019年西ヨーロッパの熱波エピソードは、全て人為的な気候変動による可能性が高いことを示しています。こうした気象の変化は、農業生産へのインパクトを通じ、コロナ・パンデミックに加えウクライナ危機でサプライチェーンの攪乱危機に直面してきた食料システムに打撃を与え、世界の食料栄養安全保障に影響を与える懸念もあります。気候変動適応および緩和の対策が求められます。

 アメリカでも、生き地獄のような熱波が襲い掛かっております。テキサス州ダラスは夜9時の気温が36度。早朝4時の気温が30度。5月から熱波が続いているアメリカ南西部。アメリカ国立気象局(NWS|National Weather Service)は、6月最後の週末に向かって華氏100度(摂氏38度)を超える地域が続出すると警告しています。日曜日(26日)までにアメリカの約70%の人たちが32度超え、20%近い人が38度超えに直面する可能性があるそうです。生き地獄のような暑さが振り子のように西へ東へ 2週間ほど前に南西部を襲ったヒートドームは、その後東に移動して、中央の平原部や中西部に停滞したあと、さらに南東部へ移動。高温と湿気がもたらすうだるような暑さが、米本土の東半分を覆いそうな勢いです。 週の初めに中西部の多くの州に発令された高温注意報は、記事執筆時点(日本時間6月23日)ではカリフォルニアや米南西部、南部、南東部で発令中。火曜日(21日)には、カリフォルニア州と、中西部8州(アイオワ、イリノイ、インディアナ、ウィスコンシン、オハイオ、ミズーリ、カンザス、ミシガン)で、この時期の平均気温を8度から14度上回る38度超えを記録しました。このヒートドームによる熱波は、5月からテキサス州あたりを中心に西へ東へと振り子のように移動を繰り返している感じです。そして現在、暑さはメキシコ湾に面する南部と南東部に移動しており、38度を超える地域の続出が予想されています。特に、南東部では過去最高を記録する地域も出るのではと懸念されています。 熱波に見舞われた中西部と平原部では、カンザス州で最大1万頭の牛が暑さによって死ぬ事故も発生しています。また、ミネソタ州運輸局は先週末、暑さによって道路が陥没し、ドライバーが危険な状況になる可能性があるとして、州全体に警告を発しました。この7日間に全米各地で更新された日最高気温の記録は、1,804件にのぼっています。その一方で、同じ期間に破られた日最低気温の記録は281件でした。この7日間で生まれた過去最高気温は、過去最低気温の6倍以上。温暖化が進んでいることを示すサインのひとつといえます。全国的に見ると、太平洋岸北西部が平年より涼しかったにもかかわらず、南西部を中心に他の地域が暑かったおかげで、5月の平均気温は平年を大きく上回りました。 そしてこの暑さは、カリフォルニアから南西部の森林火災や干ばつに寄与していると思われます。訳者が住むテキサス州は最悪で、熱波の影響もあって5月の平均気温は観測史上最高を記録しました。 気候変動で熱波は長く、激しく、頻繁に起こるように 人間活動に起因する人為的気候変動によって、熱波が頻発化、長期化、激甚化するというトリプルパンチ状態になっています。米環境保護庁(EPA)によると、1960年代と比較した場合、熱波シーズンは50日近く長くなり、発生率は3倍以上になったそうです。発生した熱波の継続時間も、平均して丸1日長くなっています。

 熱波襲来は、中国も同様です。中国山東省と河南省の電力消費量は、主に長江以北地域が熱波に見舞われエアコン使用が増加した影響で、記録的な数字となりました。中国気象局は6月22日、山東省・河南省・河北省に高温の警告を出した。国営テレビが報じたところによると、山東省の送電網の電力負荷は、9294万キロワットに達し、2020年の最高水準(9022万キロワット)を更新した。 山東省の複数都市では高温注意報が出され、電力負荷が歴史的水準となった。気象局は今週この地域の気温が40度を上回ると予想していた。国営メディアによると、河南省の負荷は20日に7108万キロワットに達し、それまでの記録6534万キロワットを上回った。河北省の火力発電会社を訪問した李克強首相は、中国は「停電を断固として防ぐ」ために石炭の生産能力を高めなければならないと述べた。北部と中部の地域が高温に見舞われる一方、広東省を含む南部の7州では大雨で113の川が警戒水位を超え、7つの川では過去最高水位を記録した。水利省の情報を国営テレビが報じた。 広東省の危機管理部門によると、大雨で47万9600人が被災、27.13ヘクタールの農地が影響を受け、1729の家屋が倒壊した。新華社によると、経済損失は17億5600万元(2億6100万ドル)に上る見込み。

 我が国日本も例外ではなく、観測史上最短で梅雨があけてしまい、首都圏を中心に日本全国で6/25以降35℃超えの熱波襲来に見舞われております。天気予報でも、過去経験したことがないとんでもない予想がつかない熱波襲来と報道されております。まさに、日本も熱波の未体験ゾーンへ突入していく予感です。『危険な暑さ』が続く中、電力の需給ひっ迫が続き、節電を強く呼びかけられております。今後も、電力のひっ迫状況は、綱渡り状態が続く見込みです。

 人類は、経験したことない熱波の危機の入口にさしかかっているのかもしれません。世界各国の熱波襲来は、地球温暖化の影響が予想以上に深刻である可能性があります。一人一人が地球温暖化を真剣に考えて、できることから一つ一つやっていかなければならないと思います。

【記者 鹿目 哲生】

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