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ザ・戊辰研マガジン

2022年08月号 vol.58

虫を食べる

2022年08月04日 13:22 by norippe
2022年08月04日 13:22 by norippe

 私の小さい頃はよくイナゴの佃煮を食べた。稲穂が実るころ、田んぼに行って袋いっぱいのイナゴを取ってきては羽根とギザギザのある第一関節の足をもぎって、佃煮にしてもらって食べた。


イナゴの佃煮

 また、私の家のそばに食品製造を営んでいる親戚の家があり、そこでは大量の薪があり、その薪を割ると中からカミキリムシの幼虫が出て来るのだ。今時の子供達だったら、この幼虫をみた瞬間「きゃぁ~」といって逃げ出すだろうが、その当時の子供達は違った。親指と人差し指でヒヨィとつまみ、幼虫の顔をマジマジと眺め観察が始まる。そして、七輪に火をおこし、網をのせてその幼虫を焼き始めるのだ。表面がカリッと焼けた頃、箸でつまんで口に運ぶ。皮はカリカリ、中はジュワりの美味である。食べたことがない人にはわからない味である。


カミキリムシの幼虫

 福島県の田村市常磐町に「ムシムシランド」という昆虫を扱った観光施設がある。この常磐町はカブトムシやクワガタで人気のある町である。
 「昆虫の聖地」を宣言した福島県田村市に新たな名物誕生か-。市内常葉町のスカイパレスときわは、施設内のレストランで「タガメサイダー」と「コオロギアイス」の提供を始めたのだ。
 近くの観光施設「ムシムシランド」の今夏営業に合わせた企画。タガメサイダーは、タイ産の食用タガメから抽出したエキスが入っており、さわやかな香りで暑い夏にぴったり。
 虫が食べられない人でも「これはおいしい!」と言うタガメサイダーである。昆虫感はまったくない。


タガメサイダー

 コオロギアイスはさくさくとした食感が楽しめる。ローストしたコオロギがスナック感覚で食べれる。


コオロギアイス

 昆虫を食べる、と聞くと「奇異なこと」と感じる人もいるのではないだろうか。
 ところが、日本でも大正時代にはハチ、カミキリムシ、カイコなど50種類以上の昆虫が日常的に食べられていたという記録もあり、現在でも私の住まいのある地域ではイナゴの佃煮などが生産、販売されている。今、この昆虫食が世界的に注目を集めているのだ。その注目度を反映してか、日本でも「昆虫自動販売機」が都内数カ所などに設置されているそうだ。

 注目を集めている昆虫食であるが、これはひとつの資源であって、必ず食べなければならないというものではない。昆虫食についてFAO駐日連絡事務所の話である。
 「現在、世界では健康的な食事を経済的に入手できない人々が約30億人存在する。持続可能な方法で、栄養のある食べ物に皆がアクセスできるようにするために、これまで通りの食料の生産方法や食事の仕方からの転換が求められている。
 昆虫は、安価に入手できる食材の一つとして、すでにアジアやアフリカ、ラテンアメリカを中心とした約20億の人々の食事の一部となっており、今後私たちが環境面でも健康面でも、そして経済面でも持続可能な食のあり方を追究する上で、一つの有望な栄養源であると考えられる」

 世界中で1900種以上の昆虫が食用として消費されていて、最も多く消費されている昆虫は甲虫(31%)で、続いてイモムシ(18%)、ハチ、狩ハチ及びアリ(14%)、バッタ、イナゴ及びコオロギ(13%)という。
 こんなにたくさんの種類が食べられている昆虫であるが、地球環境に優しい、タンパク質などの栄養面が優れている、生産・加工がしやすいといったメリットがある。
 反面、昆虫を日常的に食べたことがない人にとってみれば、その姿形を見て食欲がわかなくなることがある。タコや納豆などが海外の人に受け入れづらい食材であることと同じである。
メリット多い昆虫である。さぁ、勇気をもって食べてみようではないか。


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