ふすまの下張りから大福帳発見 高梁の旧商家 当時の活況伝える
山陽新聞社 2021/06/28
備中松山城下で江戸時代後期に建てられた旧商家・池上邸(高梁市本町)のふすまの下張りから、明治初期から戦前ごろとみられる売買記録文書が見つかった。邸宅で使われた大福帳の一部とみられ、当時の購入者や品物名などを詳細に記録。市教委は「地元で活気づいていた商売の様子がうかがえる資料」としている。
池上家は享保年間(1716~35年)に小間物を扱う「立花屋」として開業。高梁川水路の船主や両替商なども営んで財を築き、1895(明治28)年からしょうゆ製造販売も手掛けた。邸宅は一帯で起きた大火災の後の1843(天保14)年に建て替えられた。1962年に閉業後、91年ごろから市商家資料館として一般開放している。
高梁市商家資料館・池上邸
今年3月、管理人の村上治平さん(85)=同市=がふすまの張り替え作業中に発見した。解読した市教委社会教育課によると、大福帳を縦約170センチ、横約90センチにつなぎ合わせて下張りに用いたとみられ、購入者名とともに「硝子(ガラス) 五枚」「四銭 ノコキリ(のこぎり)壱ツ」など品名や金額、数量が墨で記されていた。
通貨単位に銭、厘が使われていることから、同課の上村和史主事(30)は「新貨条例が制定された1871(明治4)年以降の記録だろう。『金づち』と読める字もあり、金物も扱っていたことが分かる」と分析する。
文書は邸宅内で市民や観光客に見てもらえるよう、パネルに貼って展示している。市観光ガイド会メンバーで、城下町巡りの案内人を務める姫井眞さん(71)=同市=は「池上家が手広く商売をしていたことを知ってもらえたら」と話している。
購入者や品物名などが墨で記されている
ふすまの下張りから見つかった大福帳の一部© 山陽新聞社
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