【映画「夢幻鉄道】
JR只見線の復活に向け、さまざまな活動に取り組んできた人たちにスポットを当てたドキュメンタリー映画「霧幻鉄道―只見線を300日撮る男」の完成披露特別試写会が1/22、会津若松市文化センターで開かれた。映画の中心人物となった会津郷土写真家の星賢孝さん(73)=金山町=が舞台あいさつに立ち、「『地域の宝』である只見線の魅力をさらに世界に発信していきたい」と映画に込めた思いを語った。只見線は2011(平成23)年夏の新潟・福島豪雨で被災し、会津川口―只見間が不通に。その後、県が線路などを保有、JR東日本が運行を担う「上下分離方式」での復旧が決まり、今年秋の再開を見込む。星さんはこうした中、只見線の風景写真などを会員制交流サイト(SNS)に投稿し、インバウンド(訪日外国人誘客)を推進するなど魅力を発信している。映画では、廃線の危機に追い込まれた只見線の復活を信じ、年間300日にわたって写真を撮り続ける星さんの活動を中心に、只見線の全線開通に向けて奮闘する人々の姿に迫る。音楽はフルート奏者の山形由美さんが担当している。 試写会は関係者向けに開かれ、約100人が鑑賞した。舞台あいさつでは、安孫子亘監督(62)=下郷町=が「陰ながら只見線を応援する人の姿を見てもらいたい」と話した。映画は2月11日から福島市のフォーラム福島、いわき市のまちポレいわきで公開され、6月以降、順次全国で公開される。
安孫子監督は、福島民友新聞社などの取材に作品への思いを語った。
―映画に込めた思いは。
「奥会津を訪れる観光客は、四季の美しい非日常を求めている。ただ、自然には美しさだけでなく、今回の豪雨のような恐ろしい面もあるということも広く伝えたかった」
―演出で心掛けたことは。
「星さんが撮影する絶景に負けないよう、動画でどう表現していくかがテーマだった。奥会津のシンボルである只見線を取り巻く多種多様な人々の熱い情熱を詰め込んだ」
―撮影に3年の時間を費やした。
「地元の方や関係者との信頼関係を築くことに力を入れた。新型コロナウイルスの影響で上映も延期されたが、全線開通する年の公開となって、逆にタイミングがいい。只見線と同様の立場にある鉄道にも希望を与えられるのではないか」
―福島県民にメッセージを。
「異常気象からなる災害を克服し、どう未来につなげていくか、環境的にもメッセージ性が高い映画になったと思う。鑑賞後、ぜひ復活した只見線を見に来てほしい。会津だけでなく県内全体に明るい話題を提供できればうれしい」
【JR只見線を撮影し続けている星 賢孝さん】
【幻想的な霧に包まれる奥会津】
奥会津の只見川は、夏の朝晩に渓谷を漂う川霧が幻想的な「霧幻峡」と呼ばれ、 原風景の素晴らしさは息をのむ美しさです。只見線は、“世界一ロマンティックな鉄道”と呼ばれているのも大きく頷けます。一人でも多くの方に映画「夢幻鉄道」を観て頂きたいものです。
【記者 鹿目 哲生】
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