東京赤坂にある「乃木坂」
乃木坂というと若い方が真っ先に思い浮かべるのがアイドルグループの「乃木坂46」。
メトロ千代田線の乃木坂駅を出ると目の前が乃木坂だ。この乃木坂は勾配がきつく急な斜面の意味の「なだれ」を冠してなだれ坂とも言われていた。
乃木坂
また、このあたりは樹木が多く、日中でも地面が湿っていて暗く、一画にはお寺がポツンとある場所であったため、幽霊坂と言われていた。
しかし、何故、幽霊坂から乃木坂に名前が変わったのか。明治になると軍の関係者が屋敷を建てて、そのうちのひとつが乃木邸だった。明治期の陸軍大将で、日露戦争で指揮をとった乃木希典の屋敷である。
乃木は明治天皇の崩御の直後に殉死を遂げている。乃木希典の葬儀が行われ、その時に幽霊坂から乃木坂に正式に名を改められたのである。
乃木神社
乃木邸内に乃木の御霊を泰安した乃木神社がある。宝物殿には殉死に使われたされる刀や、ゆかりの品々が展示されている。乃木邸は乃木希典がドイツ留学中に見たフランス軍の兵舎を参考に、自ら設計したと言われている。邸宅に隣接した馬小屋は、英国から取り寄せたレンガで造られていて、馬を大切にした人柄が偲ばれる。
乃木邸にある馬小屋
東京には幽霊坂が14カ所あると言われている。近くに住む人からすればやはり名前のイメージからしていいものではないので、改名する幽霊坂が多い。湯島のニコライ堂のそばにある幽霊坂は「紅梅坂」と改名された。
また音の響きはそのままに、漢字だけを変えた「勇励坂」もある。
2024年春季号 vol.5
今年は3月後半が寒かったせいか、例年より桜の開花が遅くなっておりましたが、全国…
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