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スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん(16歳)は、アメリカ「タイム誌」の「今年の顔」に選ばれました。
【台風19号の千曲川の氾濫で北陸新幹線車両が水没したシーン】
【千曲川の氾濫シーン】
【福島県いわき市夏井川氾濫シーン】
【福島県郡山市 台風19号被害 阿武隈川氾濫シーン】
【福島県本宮市 台風19号被害状況】
新しい時代が到来しました『令和元年』は、「過去最強の台風襲来」「これまでに経験したことがない風雨」「命を守る行動をとってください」と、報道各局が台風15号と台風19号の襲来を伝えました。
台風15号は、2019年9月9日5時前に千葉市付近に上陸し、関東各地で記録的な暴風となりました。アメダス千葉では、最大瞬間風速57.5m/sを記録し、観測史上1位となりました。風にあおられるなどして、首都圏および静岡県で少なくとも死者1名、重軽傷者90名以上の人的被害が発生しました。千葉県市原市ではゴルフ練習場のポールが倒壊して民家に直撃したほか、君津市では鉄塔2基が倒壊するなど、各地で倒木や建物損壊などの被害がみられました。また、大規模な停電や断水も発生し、長期間停電が続いた地域もありました。鉄道では、東海道新幹線やJR在来線、一部の私鉄で8日夜から順次運転を取りやめました。9/9の始発からは首都圏すべての在来線や多くの私鉄で計画運休が実施されましたが、一部の路線では倒木や飛来物などの影響で運行再開が予定より遅れ、通勤や通学に影響が出ました。空の便では、8~9日の2日間で300便以上が欠航し、高速道路では首都高速道路や東京湾アクアラインなど、首都圏各地で通行止めが相次ぎました。成田空港では、都心部につながる交通機関が一斉に運休したことで、10日にかけて1万人以上が施設内で夜を明かしました。千葉県を中心に甚大な被害を出しました台風15号は、日本政府は台風による被害について激甚災害に指定しております。台風15号が関東地方に上陸時の勢力は、関東としては過去最強クラスだったそうです。
【送電線鉄塔倒壊(君津市)】
【ゴルフ練習場の鉄柱が倒壊(市原市)】
台風19号の被害も甚大でした。大型で強い台風19号は9月12日、午後7時前に伊豆半島に上陸した後、各地に記録的な強風と大雨をもたらしながら北上し、13日朝に福島県付近から太平洋に抜けた。記録的豪雨により各地で浸水や土砂崩れが発生し、多くの河川が氾濫しました。残念ながら台風の影響で多数の死傷者がでました。国土交通省は、7県の71河川135カ所で堤防の決壊を確認したと発表しました。神奈川県箱根町では48時間の雨量が1001ミリに達し、観測史上最高を記録しました。記録的な大雨を受けて東京を流れる多摩川、福島県や宮城県を流れる阿武隈川、長野県を流れる千曲川など一級河川を含む河川が氾濫し、多くの地域で広範囲にわたり浸水・冠水しました。千曲川では堤防の一部が決壊し、住宅地やJR東日本の長野新幹線車両センターが浸水するなど、大規模な被害が出ておりました。埼玉県川越市では、近くの川が氾濫した影響で特別養護老人ホームが浸水し、200人以上の入所者が取り残されましたが、全員が救助されました。複数の日本メディア報道によると、福島県南相馬市では、台風対応にあたった後に職場を離れた男性市職員(25)が遺体で発見されました。栃木市の水路では40~60代とみられる女性が心肺停止状態で発見され、その後死亡が確認されました。川崎市高津区のマンションでは浸水しました1階部分で60代の男性が発見され、後に死亡が確認されました。千葉県市原市では12日午前、強風で軽トラックが横転して大破。運転していたとみられる男性が心肺停止の状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されました。ほかにも群馬県富岡市で男性が1人、神奈川県相模原市で女性が1人、それぞれ土砂崩れで住宅が壊され死亡しました。約330万世帯、計約800万人に避難指示・勧告が出されておりました。関東甲信越や東北では、台風による大雨でダムの水位が上がったため、複数のダムで異常洪水時防災操作(緊急放流)を実施しました。台風の影響で首都圏などで計21万3100世帯において停電しました。
【首都圏を流れる多摩川が増水したシーン】
【首都圏を流れる荒川の氾濫シーン】
いわき市の夏井川の氾濫については、「戊辰研マガジン2019年11月号 vol.25」の中で、関根則喜さんが詳しくレポートされております。
https://publishers.fm/manage/boshinken/article/21248/
令和元年の台風15号と台風19号は、台風発生時にこれまでにない異常な海水温が高いため、これまで経験したことがない超大型の台風襲来となり、各地に甚大な被害を及ぼしました。余談ですが、牡蠣の養殖の専門業者も、ここのところ全国各地の海水温が高いため、牡蠣の生育にも悪影響が出ているそうです。
また、世界的にも大西洋の海水温の上昇により温帯低気圧が北にずれ、偏西風を大きく引き上げ、蛇行させました。それに伴い、ヨーロッパでは寒気が南下しフランスでは、初夏にもかかわらず異例の大雪となりました。ドイツやオーストリアでは、大雨が続き、大きな被害をもたらしました。 ヨーロッパで異常気象をもたらしたエネルギーは、偏西風を次々と蛇行させ、日本には大陸からの乾いた空気が流れ込みました。まちがいなく世界的規模で地球温暖化の影響がでてきているのです。
2019年7月の欧州は熱波が襲い、パリでは観測史上最高の42・6度を記録。これまでの最高は1947年の40・4度でした。ヨーロッパ各地で気温が40度を超えドイツ北西部リンゲンで42・6度、ベルギー北東部で40・6度、オランダ南部でも40・7度に達し、各国で観測史上の最高気温を記録しました。オランダで40度を超えたのは初めて。パリで 42.6℃を記録したそのフランスで、翌日にはフランスでは、毎年「ツール・ド・フランス」という自転車のロードレースが行われますが、今年は、7月6日から 28日までおこなわれたのですが、7月26日に、「雪のためレースが一時中止」と報じられました。つまり、熱波の次は夏の雪といった、“摩訶不思議な異常気象”がフランスを襲いました。ロシアのモスクワでは、7月30日に最低気温が 3.9℃まで下がり、これは、モスクワで7月に観測された気温としては過去最も低い気温だそうです。上空の大気の状況を見ますと、「暖かい大気」と「冷たい寒気」が、ゴチャゴチャになっている様子が伺えまして、特にロシア西部の上空には、通常より10℃も 20℃も低いような大気が入りこんでいることがわかります。一方、アメリカでも、オクラホマ州やケンタッキー州の一部地域で 7月として観測史上最低の気温を記録しました。
まさに地球が悲鳴をあげているのです。
【2019年7月フランスで雪で中止となった「ツール・ド・フランス」】
【2019年7月のアジアからヨーロッパの上空の気温の平年との差異】
【121年ぶりの寒い7月となった米ミネソタ州の報道】
このような世界各国の異常気象や日本の大型台風襲来は、まさに二酸化炭素排出量が毎年増大しているため地球温暖化が深刻な状況になっていることを示す結果です。
この地球温暖化の結果、北極熊は深刻な絶滅の危機を迎えております。
【痩せ細った北極熊】
それから、 夏にも溶けることがない北極圏の氷の「最後のとりで」でした「グリーンランド」の北方の海の氷がついに溶解けだしました。グリーンランドの北方の海はいつも凍っていて、夏にも解けることがありませんでした。地球温暖化が問題視される中、北極圏の氷の「最後のとりで」と呼ばれておりました。最近撮影された衛星写真から、地球上の海でも指折りに古くて厚いはずのこの海域の氷が、バラバラになっていることが分かりました。8月第1週に撮影された画像を見ると、氷が分解してグリーンランドの北岸から離れていっているのがわかりました。これまで確認されたことのない現象です。2月と8月初めの異常な高温によって、氷が風に流されやすくなったとみられるそうです。こうした現象が見られたのは、70年代に衛星写真が活用されるようになってから初めて。氷の分解によって大陸上の氷の融解も進むことを、専門家は危惧しております。「以前は、北極圏の氷のほとんどが多年氷だった。しかし最近はどんどん減って、ほとんどの氷が一年氷になっている」と、英ケンブリッジ大学で極域海洋物理学グループを率いるピーター・ワダムズ教授は英インディペンデント紙に語っております。同地域の温度は今年初めから不安定で、気候学者は懸念を強めております。氷量(全海面に対して密集した海氷が占める比率)の減少に加えて、海面が拡大することによって「ホットハウス・アース」現象を引き起こすフィードバックにつながる恐れも指摘されております。 極域の氷の融解は、温暖化によってどんどん加速おります。米国雪氷データセンターによれば、81〜10年の平均と比べると、現在の極域の海氷は88万平方キロも縮小しているそうです。
【グリーンランドの氷の溶解】
また、地球温暖化の影響で、北米のナイアガラの滝、南米のイグアスの滝とともに「世界3大瀑布(ばくふ)」と呼ばれるアフリカの『ビクトリアの滝』が、今年干上がっています。現地は100年ぶりという干ばつに見舞われ、川の水量が大幅に減ったためです。世界的観光名所だが、訪れる人は減る一方で、地元住民は一刻も早く雨が降ることを願っております。ビクトリアの滝は、アフリカ南部のジンバブエとザンビアの国境を流れるザンベジ川にあります。大量の水が100メートルを超える落差で流れ落ち、水煙が立ち上るダイナミックな景観が人気でした。1989年には世界自然遺産に登録されました。ロイター通信などによると、ザンベジ川の水量は毎年11月が最も少なくなりますが、今年は干ばつが続き、95年以降で降雨量が最も少なくなったそうです。水不足のため、滝の下流の水力発電所からの電力供給は停止に追い込まれました。ジンバブエ、ザンビア両国は電力不足に陥っております。アフリカ南部では水不足による不作で、約4500万人が食糧不足に苦しんでいるそうです。
【これまでのビクトリアの滝】
【干上がったビクトリアの滝】
【ジンバブエ国立公園内で干ばつのため餓死した象の遺体】
皆さん、これらの世界的な異常気象は、今でも毎日毎日地球温暖化が進んでいるから起きる深刻な問題です。心底ぞっとします。何とかしないと、世界的な異常気象がとまらなくなります。
ここで、世界各国の二酸化炭素の排出量のランキングをご覧ください。
【二酸化炭素排出量国別ランキング】
【世界各国の石炭火力依存からの脱却が大きな課題】
このような地球温暖化の危機が叫ばれている中、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんは、2019年9月23日にニューヨークで開かれた「国連気候行動サミット」に出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを叱責しました。グレタさんは、まだ16歳。グレタは世界のリーダーを前に、時に涙を浮かべながら約5分間スピーチ。温暖化解決のための具体的な行動を取らないのであれば、「結果とともに生きなければいけない若い世代」はあなたたちを許さないと強く訴えました。
【グレタ・トゥーンベリさん演説シーン】
【グレタ・トゥーンベリさんのスピーチ全文】
私から皆さんへのメッセージ、それは「私たちはあなたたちを見ている」ということです。私は今、この壇上にいるべきではありません。私は海の向こうで学校に行っているべきです。それなのに、あなたたちは私に希望を求めてここにきたのですか?よくそんなことができますね!あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢そして子供時代を奪いました。それでも私はまだ恵まれている方です。多くの人たちが苦しんでいます。多くの人たちが死んでいます。全ての生態系が破壊されています。私たちは大量絶滅の始まりにいます。それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!30年以上にわたって、科学ははっきりと示してきました。それに目をそむけて、ここにやって来て、自分たちはやるべきことをやっていると、どうして言えるのでしょうか。必要とされている政治や解決策はどこにも見当たりません。あなたたちは私たちに“耳を傾けている”、そして緊急性を理解していると言います。しかしどれだけ私が怒り悲しんでいようとも、私はそれを信じたくありません。なぜなら、もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じたくありません。二酸化炭素排出量を10年で半分に減らしたとしても、地球の平均気温を1.5℃以下に抑えるという目標を達成する可能性は50%しかありません。そしてそれによる取り戻しのつかない連鎖反応を埋め合わせることは、制御不能になります。あなた方は50%でいいと思っているのかも知れません。しかしその数字には、ティッピング・ポイント(小さな変化が集まって、大きな変化を起こす分岐点)やフィードバックループ(フィードバックを繰り返して改善していくこと)、空気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして環境正義や平等性などの要素は含まれていません。そして、私たちや私たちの子供の世代に任せっきりで、何千億トンもの二酸化炭素を吸っている。私たちは50%のリスクを受け入れられません。私たちは、結果とともに生きなければいけないのです。「気候変動に関する政府間パネル」が発表した、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑える可能性を67%にするために残っている二酸化炭素の量は、2018年1月の時点で420ギガトンでした。今日、その数字はすでに350ギガトンにまで減っている。なぜこれまでと同じやり方で、そしていくつかの技術的な解決策があれば、この問題が解決できるかのように振舞っていられるのでしょうか。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット(温室効果ガス累積排出量の上限)は、8年半以内に使い切ってしまいます。しかしこの現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。なぜならこの数字は、とても居心地が悪いから。そしてあなたたちは、それを私たちにはっきりと言えるほど十分に成熟していない。あなたたちは、私たちを失望させている。しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられている。もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。私たちはこのまま、あなたたちを見逃すわけにはいかない。今この場所、この時点で一線を引きます。世界は目覚め始めています。変化が訪れようとしています。あなたたちが望もうが望むまいが。
気候行動サミットに出席するために、グレタは二酸化炭素排出量の多い飛行機に変えて、ヨットで大西洋を横断しました。グレタは15歳だった2018年に、温暖化対策を取らない大人へ抗議するために、学校を休んでスウェーデン議会の前に座り込む「学校ストライキ」を始めました。彼女の主張に世界中の若者たちが賛同。たった一人で始めたストライキは各地に広がったのです。賛同者はどんどん増え、国連気候行動サミット直前の9月20日に世界各地で開かれた「グローバル気候マーチ」には何百万人もの人たちが参加して、温暖化の取り組みの遅れに抗議しました。
皆さんはグレタの主張をどう感じましたか?わずか16歳の女の子が地球温暖化の危機について体を張って訴えている姿は、私には神々しく見えました。このグレタに対してアメリカのトランプ大統領は自らの激しやすい性格は棚に上げて「グレタは自分の怒りを制御することに取り組み、古き良き映画を友達と見に行ったらいい!」とツイッターに書き込みました。これに対して、グレタはツイッターの自己紹介欄を「怒りの制御に取り組む10代。今は落ち着いて、古き良き映画を友達と見ている」と書き換え、トランプ大統領に反撃しました。トランプ大統領よりも大人の対応ですね。
一方、2019年12月には、スペインのマドリードで「COP25(気候変動枠組条約締約国会議)」が開催されました。本会議場では、日本の小泉進次郎環境大臣が演説のために登壇したときの期待は、演説を終えたときには落胆に変わりました。国際社会が日本政府に求めていたのは、気候危機を回避するための温室効果ガスの削減目標の引き上げ、そのために不可欠な石炭火力発電からの撤退でした。しかし、小泉大臣はついに目標の引き上げに言及することもなく、さらに石炭廃止の可能性すら示されることなく演台を降りました。これが国際社会に対する日本政府の答えなのでしょうか。 この演説に対して、世界の市民社会は、会期中2度目となる化石賞を贈ることで応えました。 化石賞は、地球温暖化に取り組む世界120か国の1300を超えるNGOのネットーワークであるCANインターナショナルが、温暖化対策に消極的な国に与える不名誉な賞です。
【COP25で演説する小泉進次郎環境大臣】
【化石賞】
この演説に対して各国からは落胆の声も聞かれ、スペインの代表団の男性は「日本は再生可能エネルギーにかじを切るべきだが、新たな行動が示されなかったのは残念だ。ほかの国々に期待するしかない」と話していました。 小泉環境大臣の演説についてエチオピア政府の代表団の男性は、「目標を立てて、どう取り組んでいくか説明していたほか、『自分は最も若い大臣で、来年は父親になるから若い世代が心配だ』とも話していて印象的だった」としました。一方で、石炭火力発電を今後、どうしていくのか言及がなかったことについては「石炭火力発電は温室効果ガスの排出も多く、先進国は進めるべきではない。未来ではなく、すぐに行動を起こし石炭火力発電を止めてほしい」と話していました。 また、西アフリカのガンビアの代表団の男性は「温暖化対策はプロセスを伴うし、時間もかかる。日本のトップが動くように、みんなで行動して説得していかないといけない」と話していました。 官房長官「脱炭素化へ国内の取り組み推進」 菅官房長官は午前の記者会見で「COP25での演説では、わが国が5年連続で温室効果ガスの排出量を減少させていることなど、気候変動対策に真摯(しんし)に取り組んでいることを世界に訴えた。政府としては、今後もさらなる説明の努力を続けていきたい」と述べました。 そのうえで「わが国は、ことし6月に長期戦略を策定し、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現するため、イノベーションを通じた環境と成長の好循環を実現していくビジョンを掲げた。これに基づいて、石炭を含むエネルギー分野の転換、脱炭素化を進めるべく、国内の取り組みを力強く推進するとともに、世界の脱炭素化をリードしていきたい」と述べました。
「化石賞」は、COP25期間中、世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」が、地球温暖化対策に消極的な国に贈ったもの。2つめの受賞理由は、進次郎氏が、演説で「脱石炭」に具体的な取り組みを示さなかったためだった。 小泉進次郎環境大臣は化石賞について「米国は総なめだった。ある1日は1位、2位、3位全部が米国ということもあった。日本は、総なめまではなかった」と、トランプ政権が「パリ協定」からの離脱を表明し、地球温暖化対策に消極的とされる米国と比較する形で主張。 さらに「日本がすでに取り組んでいるフルオロ(フロン)対策は、世界の100カ国以上がまだ、やっていない。そのことについて言われないのは、おかしいと思う」と、「脱石炭」ばかりに注目が集まることに、不満をにじませた。 「化石賞を取った切り返しで、日本が『フルオロカーボン賞』を(対策を取っていない国に)差し上げましょうということを、やったらいいのではないか」「日本はなかなかそういうことはやらないが、私はやってもいいと思う」と訴えた。 COP25について「197カ国すべてとコンセンサスを得るという、根本的な枠組みの意思決定のあり方に対する難しさを感じた」と振り返った上で、日本の存在感について「発揮のしどころの可能性を感じた」と述べた。「1つのブレークスルー(局面転換)だったのは、日本が、他国が持たない数字、データを提供したこと。今まで、文言や印象、各国の感情や利害で議論がどん詰まっていたところ、実際にデータが出されたことで、空気が替わった」と強調。「日本の努力がなければ、終盤の調整は行われなかったと、断言できる。閉会時は日本への謝意が示され、私の発言にも温かい拍手が示された」との認識を示し「交渉団の努力は、日本の宝だ」と、訴えました。 私の元同僚だった国際環境経済研究所の竹内純子さんの報告では、小泉環境大臣は相当数バイ会談(他国とのサシでの議論)をこなし、最後まで残って演説をし、拍手を浴びてました。日本の環境大臣で、演説後に拍手を得たのって、私の知る限り初めてだと思いますとのことです。
結局、グレタさんの体を張った主張に対して、日本をはじめ世界各国は「地球温暖化対策・CO2削減」の具体的な方針を示すことができず、溝は埋まりませんでした。答えは簡単にだせないこともすごく理解できますが、グレタさんの主張はごくごくごもっとであり、地球温暖化の危機について全地球の一人一人が自覚して、我々日本人も課題や問題点をしっかり把握して一人一人が改善する努力をしていかなければなりません。
【日本の10電力会社の発電量構成比】
日本における電力供給の熱源は、原子力発電の比率が縮小した現状から石炭火力の比率が高くなってしまっており、この石炭火力からの脱却が大きな課題であります。加えて、原子力発電に替わる代替エネルギーとして、安価で安定供給できる自然エネルギーの発電技術を開発することが喫緊の課題であることはまちがいありません。
【一途の望み】
現在、私は東京都内の再開発関係の仕事をしております。東京は、東京オリンピックを前に東京駅周辺、大手町、日本橋、虎ノ門、渋谷、新宿と再開発ラッシュです。たまたま、私が大手町に行った際、撮影した写真が上記三枚です。大手町の再開発ビル群の中に、森林のようなふんだんに植栽されたビルを見つけて感心してしまいました。森林浴でマイナスイオン効果で心が癒されますし、これだけ植栽があるとそれだけ植物が酸素を供給してくれて二酸化炭素削減の一助にもなり、更に猛暑も和らぐ訳です。日本のこうした地道な取り組みがもっともっと広がっていくことを望みます。
【記者 鹿目 哲生】
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