【外務省国際経済課兼欧州連合経済室首席事務官の三好あさぎさん(西会津町生まれ・福島市育ち)】
欧州連合（ＥＵ）が東京電力福島第１原発事故以降に課してきた福島県産などの日本産食品に対する輸入規制の完全撤廃の実現には、交渉の司令塔となる外務省内で福島県出身者による縁の下の支えがあった。西会津町生まれ・福島市育ちで外務省国際経済課兼欧州連合経済室首席事務官の三好あさぎさん（３９）は全体方針の調整役を担い、岸田文雄首相や閣僚による輸入規制撤廃の働きかけの素地作りに尽力した。 三好さんは福島女（現橘）高に入学後、インドに留学。京都大法学部卒。２００８（平成２０）年に外務省に入省した。東南アジアや中東などを担当し、昨年５月に欧州連合経済室のナンバー２に当たる首席事務官に就いた。対ＥＵ経済政策を担当する部署への配属に、古里との縁を感じた。ＥＵは東日本大震災以降、福島県産食品への輸入規制を続けていたからだ。「規制の完全撤廃を実現すれば、福島の力になれる」。震災当時は語学研修先のフランスに滞在し、古里から遠く離れていたことも「復興に貢献したい」との思いを強くした。欧州委員会は２年ごとに輸入規制の内容を見直している。今年の見直しでの「完全撤廃」に照準を合わせ、昨秋からＥＵ加盟国への働きかけを強めた。岸田首相や林芳正外相による加盟国との２国間会談では必ずと言っていいほど、この話題に触れるよう原稿に盛り込んだ。各加盟国の輸入規制撤廃に対する温度差も徹底的に分析した。前向きな国には関係国に働きかけるよう協力を求め、慎重な国には不安払拭のために科学的データに基づく安全性を丁寧に説明するなど相手に合わせて最大限の効果を得られるよう工夫を凝らした。三好さんは吉報を受け、「外務省でやりがいを持って臨んだ仕事で福島の復興に貢献できたのは、今までで最もインパクトのある出来事」と満面の笑みを見せた。
三好さんは7/14、福島県庁を訪問し、輸入規制の完全撤廃を内堀雅雄知事に報告した。三好さんは今年3月、EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会の規制担当の事務方トップが、県庁で内堀知事との会談に臨んだ際にも同席し、規制の撤廃に向けた働きかけを続けてきました。三好さんは「オールジャパンで取り組んだ成果でうれしく思っているし、福島県の人にも喜んでもらえると思う」と述べました。 内堀知事は「規制の撤廃に強い思いをもって取り組んでいただいた。本当にありがたく、うれしく思う」と応えていました。 知事との面会後、三好さんは「仕事においては客観的に冷静にと心がけていますが、福島県出身者として規制撤廃を実現したいと思っていたのでよい報告ができ光栄です」と話していました。EUによる輸入規制の撤廃について内堀知事は、「EU加盟国の政府関係者などに対して直接、県産の農林水産物の安全性やおいしさ、品質の高さなどの魅力を伝えてきており、今回の撤廃は福島県に対する風評払しょくを大きく後押しするものだ。国と連携しながら科学的根拠に基づいた正確な情報や県産品の魅力の発信をさらに強化し、残る国と地域の輸入規制の撤廃に向け全力で取り組んでいく」と述べました。一方、福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画をめぐり香港政府が、放出が行われた場合に福島を含む10の都県からの水産物の輸入を禁止すると発表したことについて、「処理水の問題と県産の農林水産物の輸入規制は私は全く別物だと考えているがいずれにしても科学的見地や専門家の見地から冷静な対応をすべきと考えている」と述べました。
【福島県内堀知事と三好あさぎさん】
【福島県内堀知事】
福島県の内堀知事は、欧州連合（ＥＵ）が東京電力福島第１原発事故以降に課してきた福島県産などの日本産食品に対する輸入規制の完全撤廃の実現したことは、「風評払しょくを大きく後押しするもの」と三好さんの活躍を高く評価しました。
まさに、会津女性の底力をみせて頂きました。会津贔屓としては、今回のニュースは大感激の出来事でした。三好あさぎさんは、美人で才能豊かで外務官僚として、今後も福島県、会津のためにご活躍頂くことを強く祈念しております。
【記者 鹿目 哲生】
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